一月詠
 奇しき 神石
金井 重

荒々し 猿田彦の舞に 軽やかな
 うずめ現れし 催馬楽神楽

天狗面の 勇まし猿田彦 うずめと舞う
 神楽囃子の 響きもみやびに

うっすらと 初夢なれど 定かならず
 あの世も手うすの 御時世なりや

粉雪の 白き歩道を 足早に
 赤ちょうちんの みろく横町ゆく

さあ今年 どうなるどうする 模索だが
 暗中ぢゃあないよ 行灯なのさ

常設展 「横向きピエロ」の 哀しさよ
 大きな鼻にも 結んだ口にも

いく度も これから先も 登りかと
 逢う人ごとに たずねけり

縄文期の 素やきの対の 耳かざり
 うるしの赤の あやしきいとしさ

新雪の 上毛三山 一望に
 ありがたきかな 山はふるさと

飛んできた 浅間噴火の 赤き巨岩
 稲荷神社の 奇しき神石