四月詠
 良寛の道(一)柏崎をふりだしに
金井 重
原発と 付けて下さい フクシマが
  泣いていますと 福島の声

大きいよ 余震にとびだし 空あほぐ
    月には杵もつ 兎がおりぬ

言い伝えの「津波てんでんこ」 いま生きる
    明日の力 てんでんこから

世界語の「フクシマ ヒフティ」 レベル7
    世界が見つめる 日本の原発

うたよみの 出合の縁  抱きしめて
    「蓮の露」の 水くきさやに

春の湯の 街なかにあり 釈迦堂あと
    地蔵並んで 歌碑の安らぎ

晩年の つつまし不求庵 そのままに
    街道ぞいに 跡地も地蔵も
     於 柏崎(貞心尼を尋ねて)

語らざる 意悠なるかなと 君に対す
    沙門良寛 墨のうるおい

荒海に 歌い祈りし 芭蕉日蓮
    大愚良寛 出雲崎生れ

佐渡を背に 生家跡に 素朴なる
    人柄うつす 良寛堂あり
          於 出雲崎