三月詠
 避難所から(さいたまスーパーアリーナ)
金井 重

連帯の よせがき並ぶ 明るさよ
 ボランティアの 動きも生き生き

待機する ボランティアも 街の人も
 広場のパフォーマーたちに 手拍子の渦

腕章なしは 入れずも 帰途のバス
 保育の女性と 話しはずみぬ

腕章が 双葉の人かと 我に問う
 彼は社にもどり 我と出合いし女性(ひと)

原発から 三キロ圏の うぬまさん
 残しきし牛が なによりつらいと

避難所を ここも危険と 移動して
 六カ所目の人ら いつ戻れるのか

牛との日々の 忙わしさも これが生き甲斐
 つまりし声に 胸しめつけらる

よしきとたくや ここで出合いし クラスメート
 ポツリポツリ また明日移動と

原発で 働く父と 日々の電話
 大丈夫ですと 健気なよしき

フクシマが 世界語となる 切なさよ
 うみ・やま共に よみがえれ日本

★さいたまスーパーアリーナには東電福島第一原発事故で福島県双葉町からの1200名など、合わせて2000名が一時避難しました。双葉町役場も一時移転しました。