ラインダンス 金井 重
梵字川の みやまの奥の 湯殿山
 山の気浄し 千四百年
霧うごき 小雨にけむる 御神体
 奇しき霊験 人ら語らず
先達も 宿坊も静けき鄙(ひな)よ
 今に伝えし 修験の大道
杉山の まなかにおわす 五重塔
 たくみの技に 木もれ日ゆれる
あえぎつつ みどりの山道 のぼりきて
 奥殿拝す 拍手高く
うら盆会 村に町にも 離島にも
 先祖の霊と まれびと集う
盆の入り シャッター下す 店通り
 残暑の熱気 ラインダンスのごとし
ふるさとの 山河に向う 帰省子よ
 君は会えるか 祖霊と物の怪
 父島二首
海みてる だけで好しという友ありき
 我も浜にて 一日すごせり
延々と ラピエ隆起し 島生れぬ
 地球の国産み 天空の青  《ラピエ 石灰岩のこと》
◆先月号の「久見の夜神楽」の中で「緞帳」を「蚊帳」とミス入力してしまいました。正しい言葉で再掲します。重さん、申し訳なし。
姿かくし 水平線を 赤々と 
 染めし太陽 緞帳のなか