久見の夜神楽
金井 重

草ふみて 風土記の丘の 昼下り
 鶯の声 遠く近くに
ざわざわと 右に左に 身をゆらす
 波のりさやか ぶなの木の森
ごつごつの 古木の枝葉 しなやかに
 涼しくゆれて 生命のつながり
みちのくに 銅鐸銅剣 出土なし
 自然を崇めし わが祖たちよ
鈴・太鼓 笛の音高く 夜神楽の
 白き幣 巫女の舞清し
まんまるの 中天の月 しみじみと
 猿田彦の舞う 神楽を照らす
黒き海 船をはばむか 波音高し
 南硫黄島 いま明けんとす
姿かくし 水平線を 赤々と
 染めし太陽 蚊帳のなか
平べったい 硫黄島の上にむくむくと
 白雲重なり 仁王現る
海鳥の 群舞とソロと さまざまに
 北硫黄島の 海と空の青