●金井重さんから…97.11.24
◆お元気ですかポートオブスペイン(トリニダード・トバコの首都)の暑い暑い町の公園にガンジーさん(銅像)が突立っています。彼曰く「ここはブラック41%、インド人41%、混血16%、中国その他2%なんだよ」よくぞ連れてきたもんです。私のゲストハウスは6人の女性が夜と昼に曜日交代で働いています。とても顔と名前を覚えきれません。毎日なんだかんだと通ったトラベルエージェントも(オーナーは男)全部女。バードウォッチングに行く途中、ツァーKKの女が途中で後からきた車の男と大声で話して別れました。「私のBF」と言います。「おやまあ、私はどこでも女だけだったからBFをつかまえられなかったよ」彼女「またきて、今度紹介するから」と大笑いになりました。
◆町では男も多いけど慣れるのに大変、何しろコロンビアもエクアドルも日系人の家庭に泊まって日本語バンバン話してきたでしょ、ブラックの英語はとてもシンド。焦るとこんなところでスペイン語出たりして、むつかしいねー。町はイギリス時代が長かったからちゃんと歩道もあるし、大雨(今は雨期)のあとは洗ったようにきれいになります。でも暑い日中は男達が動き出しランチの空箱はバカバカその辺に捨てるし、どこからでも飛び出してくるし、大声で叫び笑いとても猥雑な町に変身します。銀行は金曜は昼まで、どこも土日はしっかりお休み。仕事のテンポはラテンどころじゃあまい。暑いしね。
◆町の中国人食堂に入ったら奥の調理場からおばさんが出てきて「中国語が話せるか」「日本人なのよ」と言ったらガッカリしてました。もうここは長いと言いますが、やっぱり同じようなおばさんだとつい懐かしくなって出てくるんですね。中華レストランよりずっと格が下がる中国人食堂。お客も地元の人たち。おばさんはよく見るとなかなかいい顔してますが、足が不自由のようです。
◆町を歩いているとおもしろそうな事務所もあります。“カリビアンウーマンズナントカ”という看板。でも立ち止まれません。歩いていると風もあるのですが立ち止まったらワーッと暑くて暑くて。走り出したら止まれないという自転車操業が肉体的にわかるというものです。動物園に入ったら南米産の動物をなでながら園舎のあちこち洗ったり、楽しそうに働いている人をみて感心してしまいました。これが同じトリニダード人? 仕事と人間の関係はなかなかのものですね。銀行や官庁の人がこんなに楽しそうによく働くとはとても思えないです。
◆ここからガイアナに飛んだのですが、ここはなんとインド人が51%です。でもやっぱり夜の人達はブラック系が多い。ここは入管の窓口が外国人とガイアナ&カリブの島国の人という2列です。ベネズエラのとなりですが、カラカスからはどの航空さんも飛んでなくてトリニダードやバルバドスからです。スペイン語圏と違う「南米ガイアナ地方(ガイアナ、スリナム、ギアナ)」。町はポートオブスペインよりもっとカルカッタよりにした感じ。驚いたのは海、果てしない大海原はまっ茶色。水平線までまっ茶色が続きます。満潮から干潮に変わってもまっ茶色。どんなに暑くてまっ茶色でも海に入ると抱き合っている人がいます。
   油照り 茶色の海の 風は秋
   貝もなし 茶色の潮の 引きし浜
日本大使館もないのでいよいよ日本語を話すチャンスなし。でも夜(YWCA)のブラックや地元のインド人に少し近づいたかな。植物園でインド系の女性(25才)から「今、夫とトラブッている」悩みを打ち明けられたりもしました。彼は上司の奥さんのユーワクでetc.という、地上共通の問題です。彼女らはインド人、上司夫妻もインド人、どうもインド人とブラックと中国系との交わりは少ないようです。
◆スリナムは自然保護協会のエコツアー参加が楽しみでしたが、今年は中止、雨期に入っても雨が少なく滝に水がないと言います。ここは1975年に独立した若い国。教育はどこまでも無料。若者達は旧宰主国のオランダに飛び出し、首都でも人間はパラパラ。この町にもガンジーさんは突立っていました。インド系は35%だそうです。さすがにもとオランダ。インドネシア人が15%います。公用語はオランダ語ですが就学率が高いのでしょう、どこまで行っても英語が通じます。
◆ここの海もまっ茶色。アマゾン川の泥土が南赤道海流でこっちに流れてくるのだそうです(スリナム川もまっ茶色)。ガイアナではデラミミ川と交わる地帯がまっ茶色なのだと言ってました。飛行機からみる海岸線はずーっと赤っぽい茶色でした。アマゾンはすごいもんですね。それでここはボーキサイトも採れますが、食料品は全部輸入。そしてGNPの低いスリナムより食べるものが少ないのは情けない。野菜も少なくやっと黄色っぽい小さいトマトを見つけて喜んだりしてます。くだものはまあまあ。ボーキサイトも石油も金も、そして人口密度は低く、奥地のジャングルは自然のまま(マラリアも)というスリナムですが、郵便事情はワーストNo.1。日本へ1~2ヶ月だそうです。今日は11月16日(日)この手紙はうまくいけば年内に、遅くとも1月には着くでしょう。では地平線のみなさま、よいお年を、or あけましておめでとうございます。