■地平線ポストから

●金井重さん……チリ発
 たくましい(汚れた?)山男たちに囲まれ、可憐な東洋の中ばあさん(若くない、ヨボヨボでない)、はい、それがシゲさんです。

 昨日、モレノ大氷河とじっくり対面。今日は源流のフィッツロイ河、フィッツロイを目ざしています。でもこのバス、終点に着く頃は全員ほこりだらけ。未舗装道路をドアがよく閉まらないバスで走って、“あっ、旅してる”。そして、雪山連峯の主峯、フィッツロイが現れ、その雄姿に心を躍させます。
 夜中の1:00~朝の8:00まで電気がとまる小さな村落で三日滞在、トレッキングです。と、言うといかにもさっそうと歩いているようでしょう。ところが登りが続くと、風の音も雲の動きも鳥の声も聞いた、もう帰ろうと、戻りたがります。
 目的地Lag Capalは、すぐそこだ、なんてどこにも書いてないし、人っ子ひとりいません。でも、さすがにガメツく、もう少しもう少しと歩いていたら、突然あのフィッツロイが現れました。ウァー、嬉しい。しかも、こんなところで突然。もうすぐよとかなんとか、教えてくれたらいいのに。踊り上っておしゃべりすると、彼は悠然と「そうか、そうか」とうなづきました。
 宿で「行ってきたのよ。Lag Capalは水がなかった」と言ったら、笑われました。「大きな湖だ。水は満々だ。それはずっと手前だ」。
 翌日も途中のドス・コンドルスで御帰還です。これは、山が二羽のコンドルに見えると教えてくれたけど、ほんとは昔、二羽のコンドルが住んでいたと思うよ(だって、山頂の木が、そう私に言ったのです)。若い解説者は昔のこと知らんけんのー。これからチリに戻ります。パイネグランデが待っています。
 このフィッツロイににまだ日本隊は登っていないようです(年度と登頂隊と国旗が入山する所に貼ってあります)。地平線のみなさんをお待ちしてるそうですよ。ではね。あらあらかしこ。

   雲動き ぬっと顔出す 神の主座

 さすが迷句ですね。では、もひとつ。フィゴ島にて。

   はたはたと 風語で話す 夏をゆく     しげ女
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 日本はいそがしいですか。旅行人シゲもいそがしいのよ。もう夏が終って、冬がそこまで来ています。
 雨や寒さは外歩きには困るのよね。イスラエルは強い。軍隊体験者(男女とも)がレンタカーで回ってテントで寝ています。アウトドアというより、野外訓練という感じ。疲れた女だけ、1泊ぐらい夜のベッドに寝ます。彼ら彼女達は、途中で一緒になって、4~5人でもうBFやGFになって。
 ではね。

                     chili, Puerto Natales
                          Shige KANAI